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退職代行の基礎

退職代行の『非弁行為』とは?弁護士法違反になるケースと安全な選び方

退職代行の非弁行為と弁護士法72条を一次情報とともに解説し、弁護士・労働組合・民間の対応範囲の線引きと安全な選び方のチェックリストを整理します。

公開: 2026年6月28日 最終更新: 2026/06/28 監修: 編集部 読了目安: 10分

「退職代行って違法じゃないの?」「これを使って大丈夫なのかな」——調べるほど不安になる方は少なくありません。退職代行の運営会社が弁護士法違反の容疑で逮捕されたと各社が報じたこともあり、法律面が気になるのは自然なことです。

この記事は、退職代行を怖がらせるためのものではありません。「非弁行為」という言葉の意味と、弁護士法72条の考え方を一次情報とともに整理し、どの運営形態なら何を頼めるのか、安全に選ぶための線引きをお伝えします。

ポイントは、退職代行そのものの是非ではなく、「誰が、どこまで担ってよいのか」を分けて考えることです。

「非弁行為」とは何か

非弁行為とは、弁護士でない者が、報酬を得る目的で法律事件に関する法律事務を扱うことを指します。これを制限しているのが弁護士法第72条です。

条文では、弁護士または弁護士法人でない者が、報酬を得る目的で訴訟事件や一般の法律事件に関して鑑定・代理・仲裁・和解その他の法律事務を取り扱うこと、またはこれらの周旋をすることを、原則として禁止しています(一次情報は弁護士法 - e-Gov法令検索を参照)。用語の整理は弁護士法72条の解説でも確認できます。

退職代行に引き寄せて言うと、次のような線引きになります。

  • 「会社に退職の意思を伝える」ことの取次ぎ自体は、直ちに法律事務とは言い切れない
  • 「有給消化や退職日を会社と交渉する」「未払い賃金・退職金を請求する」となると、法律事務・交渉に踏み込む可能性がある
  • さらに「依頼者を弁護士に有償であっせん(紹介)する」といった行為も、72条の周旋との関係で論点になり得る

実際、退職代行「モームリ」を運営する会社の代表らが、依頼者を提携先の弁護士に有償であっせんしたとして弁護士法違反容疑で逮捕されたと報じられています(時事ドットコムFNNプライムオンライン)。弁護士ドットコムニュースは、この事案をもとに「弁護士紹介」がなぜ違法になり得るのかを72条の観点から解説しています(弁護士ドットコムニュース)。これらは報道であり、逮捕は容疑の段階です。有罪が確定したものではなく、事案の評価は今後の手続きによります。

「交渉できるのは誰か」を運営形態で分ける

非弁行為の理解が難しく感じるのは、「退職を伝える」と「会社と交渉する」が地続きに見えるからです。ここを運営形態で分けると、線引きが見えてきます。詳しい比較は退職代行の運営形態の違いで扱っています。

運営形態担える範囲の考え方法的根拠の背景
民間型退職意思の伝達、事務連絡の取次ぎが中心交渉・請求は弁護士法72条との関係で慎重さが必要
労働組合型有給・退職日など労働条件の団体交渉を相談しやすい労働組合の団体交渉権
弁護士型交渉・請求・損害賠償対応・訴訟まで弁護士としての代理権

交渉・請求・訴訟ができるのは弁護士です。未払い賃金の請求、損害賠償への対抗、訴訟対応などは、弁護士型の領域になります。

労働条件の団体交渉は労働組合が背景を持ちます。労働組合には団体交渉権があるとされ、組合員である依頼者の労働条件について会社と交渉できると説明されます。厚生労働省の解説でも、団結権・団体交渉権・団体行動権の考え方が示されています(労働組合 - 厚生労働省)。ただし、訴訟や損害賠償請求は弁護士の領域です。

民間型が担えるのは「伝達」が中心です。退職意思の伝達や事務連絡の取次ぎにとどまる限り、それ自体が直ちに問題になるとは限りません。一方で、報酬を得て会社と交渉したり金銭を請求したりする場面では、弁護士法72条との関係で慎重な確認が必要になります。

なお、退職の意思表示そのものの根拠としては、期間の定めのない雇用契約について定める民法第627条がよく参照されます(用語は民法627条の解説も参照)。法律面をさらに詳しく知りたい場合は、退職代行は違法?法律・法的根拠の整理もあわせて確認できます。

「弁護士監修」と「弁護士が対応する」は違う

退職代行の説明でよく見かける「弁護士監修」という表現には注意が必要です。弁護士監修は、サービス設計の確認にとどまる場合があり、個別の案件で弁護士が代理・交渉するとは限りません。

契約前に、次の違いを確認すると安心です。

  • 「弁護士監修」=サービス内容の確認・助言にとどまる場合がある
  • 「弁護士が個別対応」=実際の交渉・請求を弁護士が代理する

会社が反論してきたときや、有給・未払いで揉めそうなときに、誰が対応するのかを具体的に聞いてみてください。回答があいまいな場合は、別の運営形態も比較したほうが落ち着きます。

安全な選び方のチェックリスト

非弁リスクをすべて利用者が見抜くのは簡単ではありません。それでも、契約前に次を確認すると、対応範囲と自分の希望のずれに気づきやすくなります。

  • 運営主体が「民間企業」「労働組合」「弁護士・法律事務所」のどれか明記されているか
  • 自分に必要なのは「伝達だけ」か「有給・退職日・未払いの交渉」か「損害賠償・訴訟」か
  • 交渉が必要な場合、誰が(労働組合・弁護士が)対応するのか説明されるか
  • 「弁護士監修」と「弁護士が個別対応」が区別して説明されているか
  • 基本料金のほか、組合費・後払い手数料・成功報酬などの総額が確認できるか
  • 相談内容がLINEやメールなど記録に残る形で確認できるか

このチェックを踏まえると、「伝達だけで足りるなら民間型も候補」「交渉が必要なら労働組合型」「法的請求があるなら弁護士型」と整理しやすくなります。運営会社の逮捕報道を受けて代わりを探している方は、モームリの代わりになる退職代行は?で代替候補の比較も確認できます。

よくある質問

Q. 退職代行を使うこと自体は違法ですか?

退職意思の伝達や事務連絡の取次ぎにとどまる範囲であれば、退職代行の利用自体が直ちに違法になるとは限りません。問題になり得るのは、弁護士でない者が報酬を得て法律事務や交渉に踏み込む場合で、弁護士法72条との関係が論点になります。

Q. 非弁行為とは何ですか?

弁護士でない者が、報酬を得る目的で法律事件に関する法律事務を扱うことを指し、弁護士法72条で制限されています。退職代行では、民間業者が会社と交渉したり金銭を請求したりする場合や、依頼者を弁護士に有償であっせんする場合に問題になり得ます。

Q. 民間型は交渉できないのですか?

民間型が担えるのは退職意思の伝達や事務連絡の取次ぎが中心とされています。有給・退職日・未払いなどの交渉が必要なら、団体交渉権を持つ労働組合型や弁護士型を検討するのが安全です。

Q. 労働組合型なら何でもできますか?

労働条件の団体交渉は相談しやすい一方、訴訟や損害賠償請求は弁護士の領域です。労働組合型にも限界があることを踏まえて選んでください。

Q. 安全なサービスをどう選べばよいですか?

運営主体が明記されているか、交渉を誰が行うか、料金総額、相談記録の残しやすさを確認します。交渉や請求が必要そうなら、最初から労働組合型や弁護士型を選ぶと線引きのずれを避けやすくなります。迷う場合は退職代行診断で運営形態の目安を出せます。

まとめ

退職代行の「非弁行為」は、退職代行そのものを否定する話ではなく、「誰が、どこまで担ってよいのか」という線引きの話です。交渉・請求・訴訟は弁護士、労働条件の団体交渉は労働組合、民間型は伝達が中心——この整理を持っておくと、報道で不安になったときも落ち着いて選べます。

まずは、自分に必要なのが伝達だけなのか、交渉なのか、法的請求なのかを分けてみてください。そのうえで運営形態の違い退職代行診断を確認すると、安全な選び方に近づけます。無理に急がず、確認できる範囲から進めて大丈夫です。

よくある質問

Q.退職代行を使うこと自体は違法ですか?
A.退職意思の伝達や事務連絡の取次ぎにとどまる範囲であれば、退職代行の利用自体が直ちに違法になるとは限りません。問題になり得るのは、弁護士でない者が報酬を得て法律事務や交渉に踏み込む場合で、弁護士法72条との関係が論点になります。
Q.非弁行為とは何ですか?
A.弁護士でない者が、報酬を得る目的で法律事件に関する法律事務を扱うことを指し、弁護士法72条で制限されています。退職代行では、民間業者が会社と交渉したり金銭請求を行ったりする場合に問題になり得ます。
Q.民間型の退職代行は交渉できないのですか?
A.民間型が担えるのは退職意思の伝達や事務連絡の取次ぎが中心とされています。有給・退職日・未払いなどを会社と交渉する必要がある場合は、団体交渉権を持つ労働組合型や弁護士型を検討するのが安全です。
Q.労働組合型はなぜ交渉できるのですか?
A.労働組合には団体交渉権があるとされ、組合員である依頼者の労働条件について会社と交渉できると説明されます。ただし、訴訟や損害賠償請求は弁護士の領域です。
Q.安全な退職代行を選ぶには何を確認すればよいですか?
A.運営主体(民間・労働組合・弁護士)が明記されているか、交渉を誰が行うか、料金総額、相談記録の残しやすさを確認します。交渉や請求が必要そうなら、最初から労働組合型や弁護士型を選ぶと線引きのずれを避けやすくなります。

参考にした公的情報

本記事では、制度・法令に関わる説明について以下の一次情報を参照しています。個別の判断が必要な場合は、各窓口または専門家へ確認してください。

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